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『罪と罰』どの訳がおすすめ?翻訳5種を冊数・ページ数で比較|工藤精一郎・江川卓・亀山郁夫・米川正夫ほか【2026年版】

『罪と罰』の主な邦訳5種を、出版社・初刊年・冊数・ページ数・訳注の有無で比較。新潮文庫・岩波文庫・光文社古典新訳文庫・角川文庫で読める訳と、入手しにくい訳の状況を出版社とNDLの情報で整理します。

内容の確認日:2026-11-01

画像はイメージです

結論:2冊で読むなら工藤訳か米川訳、訳注つきなら江川訳、新しい訳なら亀山訳

2026年11月時点で文庫で手に入りやすい『罪と罰』は、新潮文庫の工藤精一郎訳(上下2冊)、岩波文庫の江川卓訳(上中下3冊)、光文社古典新訳文庫の亀山郁夫訳(全3巻)、角川文庫の米川正夫訳(上下2冊)の4つです。冊数を少なくしたいなら工藤訳か米川訳、各巻の訳注を参照しながら読みたいなら江川訳、2000年代に出た新しい訳で読みたいなら亀山訳、というのが確かめられる属性から言える選び方です。

根拠は次のとおりです。工藤訳は1987年から新潮文庫で刊行されている2冊本で、新潮社の表示では上巻592ページ、下巻608ページです。江川訳は1999年から2000年に岩波文庫に入った3冊本で、岩波書店の目次によれば各巻に訳注があり、下巻には解説も収められています。亀山訳は2008年から2009年に光文社古典新訳文庫から刊行され、版元は「画期的新訳」と打ち出しています。米川訳は戦前から読まれてきた訳で、角川文庫では2008年の改版が現行です。

このほか、池田健太郎訳が1973年に中公文庫から2冊で出ていますが、現在の流通は確認できませんでした。以下で一覧、各訳の特徴、分量の順に比べます。

主な邦訳の一覧:訳者・出版社・初刊年・冊数・ページ数

『罪と罰』の主な邦訳(2026年11月1日に出版社サイトとNDLで確認)
訳者出版社・レーベルこのレーベルでの初刊冊数ページ数確かめられる特徴
工藤精一郎新潮文庫1987年2冊(上・下)上592・下608(新潮社)NDLでは1961年の新潮社「世界文學全集」に収録の記録。電子書籍は上下合本版も
江川卓岩波文庫1999〜2000年3冊(上・中・下)上414・中364・下432(岩波書店)各巻に訳注、下巻に解説。訳は1960年代に旺文社文庫で刊行
亀山郁夫光文社古典新訳文庫2008〜2009年3冊1巻488・2巻465・3巻536(NDL)版元サイトで「おもな登場人物しおり」を公開
米川正夫角川文庫1949年(現行は2008年改版)2冊(上・下)上512・下560(KADOKAWA)新潮文庫でも1951年から1980年代まで刊行。電子版は上下合本も
池田健太郎中公文庫1973年2冊(上・下)上456・下464(NDLの1984年の記録)中央公論社「世界の文学」16(1966年)に収録。現在の流通は確認できず

表の「初刊」は、そのレーベルで最初に出た年です。工藤訳は文庫になる前に、新潮社の「世界文學全集」第17巻(NDLの記録では1961年)や「決定版ドストエフスキー全集」(1978年)に収められていました。江川訳も、NDLの書誌では1966年から67年に旺文社文庫で上下2冊として出ています。

NDLの記録によると、新潮文庫の『罪と罰』は1951年から米川正夫訳で刊行され、1987年6月に工藤訳の上下巻が出ています。現在の新潮文庫は工藤訳です。米川訳はその後も角川文庫で読み継がれています。価格は改定されることがあるため表には入れていません。

読みやすい訳は?版元の紹介と確かめられる属性で比べる

「読みやすさ」は人によって感じ方が違うため、ここでは各出版社の紹介と、冊数・訳注・解説といった確かめられる属性を並べます。

工藤精一郎訳(新潮文庫)は、2冊で完結する点がいちばんの特徴です。新潮社の書籍ページには、訳文の特徴についての説明はありません。NDLの書誌では、1987年の刊行時は上巻488ページ、下巻502ページで、2010年に改版されています。現在の表示は上巻592ページ、下巻608ページです。電子書籍では上下をまとめた合本版も配信されています。

江川卓訳(岩波文庫)は3冊に分かれ、岩波書店の目次によれば上・中・下の各巻に訳注が付き、下巻には解説があります。注を巻末で確かめながら読みたい人に向きます。江川卓は『謎とき「罪と罰」』(新潮選書、1986年)の著者でもあり、新潮社の著者紹介によればこの本で読売文学賞を受けています。訳を読んだあとに作品の仕掛けを深く知りたい人は、あわせて手に取る選択肢があります。

亀山郁夫訳(光文社古典新訳文庫)は、2008年10月、2009年2月、2009年7月の3回に分けて刊行されました。光文社は最終巻の紹介で、この訳を「あらゆる登場人物が生き生きと呼吸する画期的新訳」と打ち出しています。版元サイトでは「『罪と罰』おもな登場人物しおり」を公開しており、ロシア人の名前や呼び名の多さに戸惑う人の助けになります。訳者には作品論『「罪と罰」ノート』(平凡社新書、2009年。増補版は平凡社ライブラリー、2023年)もあります。

米川正夫訳(角川文庫)は、NDLで確認できる最も古い記録は1935年の三笠書房版で、1949年に角川文庫に入りました。1968年の改訂版を経て、2008年11月に改版された上下2冊が現行です。KADOKAWAは「名訳で甦るドストエフスキーの代表作」と紹介しています。日本で長く読まれてきた訳の文体を確かめたい人や、ほかの訳と読み比べたい人の選択肢になります。電子版では上下合本も出ています。

池田健太郎訳(中公文庫)は、中央公論社「世界の文学」16(1966年)に収められたのち、1973年に中公文庫で上下2冊になりました。中央公論新社のサイト内検索では見つからず、2026年11月時点の流通は確認できませんでした。読みたい場合は図書館で探すのが確実です。

どのくらいの量か:ページ数から読む期間を見積もる

文庫の合計ページ数と、読み終えるまでの日数の目安
訳冊数合計ページ数1日30ページで1日50ページで
米川正夫訳(角川文庫)21,072約36日約22日
工藤精一郎訳(新潮文庫)21,200約40日約24日
江川卓訳(岩波文庫)31,210約41日約25日
亀山郁夫訳(光文社古典新訳文庫)31,489約50日約30日

合計ページ数は、亀山訳のみNDLの書誌、ほかは出版社サイトの表示を足したものです。どの訳でも、1日30ページなら1か月半前後、1日50ページなら1か月弱が目安です。ページ数には訳注・解説も含まれるため、本文だけの分量の比較ではありません。また文字の大きさや行数でもページ数は変わります。

毎日の読書時間から逆算して計画を立てたい場合は、本体サイトの読書計画ツール(https://toshitime.com/tools/reading-plan/)で、残りページを週ごとに分けられます。

よくある疑問

途中で訳を替えてもよいかという疑問については、替えることはできますが、巻の切れ目が訳ごとに違う点に注意が必要です。工藤訳と米川訳は2冊、江川訳と亀山訳は3冊に分かれています。乗り換えるときは、読み終えた箇所を巻数ではなく、作品の「第何部・第何章」で確かめてから、次の訳の目次で同じ箇所を探してください。

どの訳がいちばん正確かという問いには、この記事では答えを出しません。訳文の良し悪しを判断するには原文との照合が必要で、ここでは刊行年・冊数・訳注の有無など、誰でも確かめられる属性に絞って比べています。気になる訳がある場合は、書店で冒頭の数ページを読み比べるか、出版社や電子書籍ストアの試し読みを利用するのが確実です。同じドストエフスキーの長編を比べた記事として、このサイトには『カラマーゾフの兄弟』の翻訳比較もあります。

参考資料

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