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『星の王子さま』翻訳比較|内藤濯訳と新訳、どの訳がおすすめ?文庫7種を比べる【2026年版】

『星の王子さま』の邦訳を、内藤濯訳と2005年の保護期間満了後に出た新訳に分けて比較。文庫7種の訳者・刊行年・ページ数・版元の紹介と、子ども向けの版を出典つきで整理します。

内容の確認日:2026-10-30

結論:定番なら内藤濯訳、新しい文庫なら目的で河野・野崎・倉橋訳から選ぶ

日本で長く読まれてきた訳で読みたいなら、1953年から岩波書店で刊行されている内藤濯訳です。新しい訳を文庫で選ぶなら、版元の説明から条件ごとに絞れます。やさしい日本語を打ち出している訳なら新潮文庫の河野万里子訳(160ページ)、題名も文体も原作に近づけたことを打ち出している訳なら光文社古典新訳文庫の野崎歓訳『ちいさな王子』、挿絵がカラーでルビが多い版なら文春文庫の倉橋由美子訳が候補です。

新訳が多い背景には、日本での著作権が2005年1月に切れたことがあります(学習院大学図書館の2005年の展示資料による)。NDLの書誌でも、2005年6月以降に新訳が相次いだことが確認でき、同年だけで論創社、中央公論新社、宝島社、みすず書房、集英社、八坂書房、筑摩書房などから新訳が出ています。光文社の紹介文も、すでに10種を超える翻訳が試みられた作品だと書いています。

なお、学習院大学図書館の同じ資料は、『星の王子さま』という邦題そのものが内藤濯の考えた題だと紹介しています。光文社は、野崎歓訳の題『ちいさな王子』を原題に忠実な題だと説明しています。そのため新訳の中には『ちいさな王子』『小さな王子さま』のように、別の題を付けたものがあります。

文庫で出ている主な訳の一覧

『星の王子さま』の主な文庫版(刊行年・ページ数は出版社サイトとNDLによる)
訳者書名レーベル刊行ページ数
内藤濯星の王子さま岩波文庫2017年(訳の初刊は1953年の岩波少年文庫)220ページ(NDL)
池澤夏樹星の王子さま集英社文庫2005年8月143ページ(NDL)
石井洋二郎星の王子さまちくま文庫2005年12月(出版社品切れ・2026年10月時点)176ページ
河野万里子星の王子さま新潮文庫2006年3月160ページ
野崎歓ちいさな王子光文社古典新訳文庫2006年9月174ページ(NDL)
管啓次郎星の王子さま角川文庫2011年6月158ページ(NDL)
倉橋由美子星の王子さま文春文庫2019年5月(初刊は2005年の宝島社)176ページ

ページ数は出版社サイトに表示があるものはその数字を、ないものはNDLの書誌の数字を使いました。在庫は出版社サイトで確認できた範囲で、ちくま文庫の石井洋二郎訳は筑摩書房のページで「出版社品切れ」と表示されています(2026年10月時点)。原作は1943年刊行の短い作品なので、どの文庫も200ページ前後に収まります。違いが出るのは、挿絵の扱い、ルビの量、解説の有無です。

読みやすい訳は?版元の紹介の言葉で比べる

読みやすさの感じ方は人によって違うため、ここでは各出版社が自社の訳をどう紹介しているかを並べます。

内藤濯訳は、1953年に岩波少年文庫の一冊として出たのが始まりです。その後、岩波書店からオリジナル版(2000年)、岩波少年文庫の新版(2000年)、岩波文庫(2017年)など、判型の違う版がいくつも出ています。子どもに手渡すなら少年文庫、大人が自分用に持つなら岩波文庫と、同じ訳を判型で選べるのが特徴です。

河野万里子訳(新潮文庫)について、新潮社は「最も愛らしく、毅然とした王子さま」を「優しい日本語」でよみがえらせた新訳だと紹介しています。160ページと文庫の中でも薄い部類で、新潮文庫の名作新訳シリーズ「Star Classics」に入っています。

野崎歓訳『ちいさな王子』(光文社古典新訳文庫)は、題名をあえて原題に忠実にしたと版元が説明しています。おとぎ話調・童話調を捨て、作品本来の乾いた文体を採ったという紹介で、版元の説明からは童話調を避けた訳だとわかります。光文社はこの本を「大人に贈るたいせつな物語」とも紹介しています。

倉橋由美子訳は、NDLの書誌では2005年に宝島社から単行本、2006年に宝島社文庫で出ており、文春文庫版は2019年の刊行です。文藝春秋の紹介によると、文春文庫版はサン=テグジュペリの挿絵をカラーで掲載し、ルビを増やした「読みやすい体裁」で、解説は古屋美登里と、文庫版で加わった小川糸の2本です。子どもと一緒に読みたい人や、贈り物にしたい人に向く版です。

石井洋二郎訳(ちくま文庫)は、筑摩書房が「明晰で美しく読みやすい新訳」と紹介していますが、2026年10月時点で同社のページでは出版社品切れとなっており、新刊では入手しにくい状態です。管啓次郎訳(角川文庫)は2011年刊で、KADOKAWAは「斬新な新訳」と紹介し、2025年3月に21刷目の重版を発表しています。池澤夏樹訳は、NDLの書誌では2005年8月に集英社から単行本と集英社文庫の両方が出ています。

2005年に出た新訳と、子ども向けの版

保護期間の満了直後に出た新訳には、文庫になっていない単行本も多くあります。題名の付け方に訳者の考えが表れているので、探すときは題名の違いにも注意してください。

2005年に刊行された主な新訳(単行本。NDLの書誌による)
訳者書名出版社刊行
三野博司星の王子さま論創社2005年6月
小島俊明新訳 星の王子さま中央公論新社2005年6月
倉橋由美子新訳 星の王子さま宝島社2005年7月
山崎庸一郎小さな王子さまみすず書房2005年8月
池澤夏樹新訳 星の王子さま集英社2005年8月
藤田尊潮小さな王子 新訳『星の王子さま』八坂書房2005年10月

子ども向けのレーベルにも複数の訳があります。内藤濯訳の岩波少年文庫のほか、NDLの書誌では三田誠広訳の講談社青い鳥文庫(2006年)、谷川かおる訳のポプラポケット文庫(2006年)、管啓次郎訳の角川つばさ文庫(2011年)が確認できます。小学生が自分で読むなら、ルビや挿絵の多い児童書レーベルから選ぶと読みやすくなります。

よくある疑問

『星の王子さま』と『ちいさな王子』は別の作品かという疑問がよくありますが、同じ作品の別の訳です。『星の王子さま』は内藤濯が付けた邦題で、野崎歓訳は原題に合わせて『ちいさな王子』としています。ほかにも『小さな王子さま』『小さな王子』などの題があります。

どの訳が正しいかについては、この記事では判断しません。ここでは刊行年・ページ数・版元の説明など、確かめられる情報で比べました。短い作品なので、気になる訳を2つほど書店で開き、冒頭の数ページを読み比べてみるのがいちばん確実な選び方です。

参考資料

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